就業規則の新規作成と既存従業員からの個別同意

常時10名以上の労働者を使用することとなり、就業規則を新たに作成するときは、既存の従業員から個別に同意書をもらうべきだと考えています。

 

理由は二つあります。

 

理由の一つ目は必要性の問題です。就業規則の新規作成による労働条件の変更には労働契約法10条が類推適用されると考えられています。ですので、合理性と周知があれば、一方的な既存労働条件の不利益変更も可能です。しかし、既存の労働契約が労働条件通知書ひな形のようなものにとどまる場合、就業規則により変更(追加)される内容は多岐にわたります。せっかく就業規則を制定するのだから、、と、色々盛り込みたくもなるでしょう。そして、変更に合理性があるかどうかは、将来裁判になったときに登場する担当裁判官にしか分かりません。

 

二つ目は許容性の問題です。就業規則を新規に作成する事業場は、従業員数が10名程度であるはずであり、社長が各自の顔を見て説明し、個別に同意を得るのにそれほど苦労しない規模だと考えます。

 

この点は、巷ではあまり触れられていないような気がしますが(作成・周知・届出で終わりとするものが多い)、重要な点だと思っています。