ワクチンと個人情報

コロナウイルスワクチンを接種したという情報は個人情報保護法上の要配慮個人情報(法2条3項、令2条3号)に当たるのではないでしょうか。薬剤服用履歴だからです。

会社が従業員の要配慮個人情報を得るためには同意が本人の同意が必要です(法17条2項)。

同意なくして得るための例外規定もあります。ワクチン接種について関連しそうなものは、①人の身体生命に必要で、かつ本人同意取得困難、②公衆衛生向上に特に必要で、かつ本人同意取得困難、の二つです(法17条2項)。

厚生労働省の発表では、「現時点では感染予防効果は十分には明らかになっていません。ワクチン接種にかかわらず、適切な感染防止策を行う必要があります。」(ファイザー)、「現時点では感染予防効果は十分には明らかになっていません。ワクチン接種にかかわらず、適切な感染防止策を行う必要があります。」(モデルナ)とのことであり、ワクチンは発症予防が主たる効果と説明されています。

ワクチン接種の効果が感染予防ではなく発症予防なのであれば、上記の例外規定を使った同意なき取得は難しいのではないでしょうか。

そうすると、本人同意がなければワクチン接種の情報は取得できないというのが、帰結になります。

さらなるポイントは、ワクチンを接種しない人はその情報を慎重に取扱いたいはずであり、反対にワクチンを接種した人はワクチン接種の事実を積極的に伝えたいであろうということです。

同意した人だけ回答をくれればよいという取得の方法ができるのであれば、回答しない人がワクチンを接種していない人という状態になるのではないでしょうか。

これでは、本人同意がなければワクチン接種の情報は取得できないという帰結は無駄になります。

したがって、本人同意がなければワクチン接種の情報は取得できないという結論から、「同意した人だけ回答をくれればよいという取得の方法」自体を不正手段とすべきではないでしょうか(法17条1項)。やりすぎでしょうか。

個人情報は目的外利用ができません(法15条2項)。プライバシーの問題もあります。具体的に議論する必要があると思います。